PROJECT STORY 01
日本最大級のインテリア国際見本市
500社分の木工ブースを、
ALL SHOEIの力で
組み上げろ。
大規模国際見本市、
10年の舞台裏。
プロジェクトの概要
東京ビッグサイトで毎年6月に開催される国際見本市「インテリア ライフスタイル」。デザイン性の高い約500社のインテリアブランドが国内外から集結し、ずらりと並んだ家具や照明、テキスタイルなどの高品質な商材が “目利き”のバイヤーを惹きつけます。本展に約10年伴走を続けている昭栄美術では、デザイン、製作、仕上げだけでなく、出展者を取りまとめるオペレーションチームも含む盤石の構えで展示会の成功をサポートしています。10年の中で積み上げたノウハウ、繰り返しに甘んじない姿勢、そして全社のチームワーク。毎年進化を重ねながら、「誰かの勝負の場」を支える現場の声を聞きました。
Profile
渡邊 泰斗(わたなべ たいと)
営業職 第3営業部営業1課 / 新卒入社10年目
木下 邦明(きのした くにあき)
クリエイティブ職 スペースデザイン課 / 中途入社26年目
横内 勇紀(よこうち ゆうき)
製作職 第1製作部製作管理1課/ 新卒入社7年目
10年越しの信頼の裏に、
「製販一体」の強みあり。
「インテリア ライフスタイルは、昭栄美術がここ10年ほど受注を続けている展示会です。3年おきにコンペがあり、受注すれば3年契約になります。連続でご依頼いただけている理由として、まずは当社が製販一体で、“展示会の仕事”に関するほとんどの要素を社内で持っていること。調整がスムーズで、お客様にストレスのない進行ができているのではないかと自負しています。加えて大規模な木工基礎に対応できる会社が珍しいのもあるのではないかと」
「木工基礎は展示会業界ではやや特殊なんですよね。特に規模が大きい展示会ではシステマティックに組めるアルミ製のシステムパネルを利用することがほとんど。ですがインテリア ライフスタイルは主催企業様が木工の質感を大事にされていて、当社としてもそれに応えるべく、代々の先輩方が工夫を凝らして実現してきました。私自身は今回が本展への初参加で、500社分もの木工基礎を組んだのも初めてでした」
「本展はゾーンごとに新進気鋭の建築家やインテリアデザイナーがディレクションを手がけています。デザイナーとしてはそうした方々を間近で見られる貴重な機会。例年担当しておりますが、新鮮さを保ちながら刺激をいただいている仕事です」
「できません」を、
いかに「できる」に変えられるか。
「通常、当社が基礎施工に木工パネルを使う場合、必要な枚数はブースをいくつか組むための数十枚程度。対して本展では1500枚と、ケタが違います。ゆえに私にとってこの仕事は、“木工パネルの在庫の確保”がスタートです。今回は一週間前に別案件で大量の木工パネルが出払っていたため、特に調整が難航しました」
「コストと環境の観点から、木工パネルは基本的に使い回しです。廃棄を出さないよう工夫しますし、足りないからといって新たに作ることもほとんどしません。結果、ギリギリの在庫を回さねばならず、そこに正直非効率性はあります。だからこそ、他で効率を上げる工夫がこの10年積み重ねられてきました。例えば社内のスタジオでパネルを繋いでから搬入できるように、繋いだパネルを立てたまま積めるトラックを自社で開発しちゃったり(笑)。専用のパレットも作りました。おかげで仕上げの経師紙を貼る工程まで社内で終えてから運べるようにもなり、製作の作業効率はかなり上がりました」
「トラックやパレットの開発は、会長が製作の現場を見に来て『繋いでから積んだらいいじゃん!』と言ったことから一気に動いたと聞いています。会社として、作業効率や社員の働きやすさを積極的に改善してくれるのは助かります。そのおかげで様々なお客様のご要望を実現できていると言っても過言ではありません」
「それでも木工は造作的な難しさもありますよね。どこに補強を入れたらいいか、安全性を保てるか、展示するモノごとに一つ一つ検討しなくてはなりませんし。またゾーンを担当する建築家の方から、『こういうデザインにしたい』『こんな柱を使って建造物を建てたい』と構想が上がってくる時も、展示会用の商材に置き換えたときに強度が足りないことが多々あります。そこを木下さんや横内さんと相談して、いかに『できません』ではなく、『こうすればできます』に変えていけるかが営業の勝負だと思っています。同時に社内に負担をかけすぎないように調整するのも大事な仕事。時には営業メンバーが製作部に赴き、パネルのメンテナンスやシール剥がしなど、できるところをお手伝いしています。まさにチームの総力戦です」
“いつも通り”を超えていく。
進化を引き出す、小さな創意。
「インテリア ライフスタイルでは、個々のブースデザインは比較的シンプル。あくまでも展示する商品が主役となるようバランス良く魅せる必要があり、デザイナーとしてはそれを考えることに成長があった気がします。主催企業様から『展示会全体の雰囲気をガラリと変えてみたい』とご相談をいただくこともあります。そのご相談を受けたときは、来場者が目的のブース以外のブースも回るよう、敢えて少しだけ遠回りになる会場レイアウトを考えました。普通は碁盤の目状に走らせる通路を、すべて斜め45度にレイアウトしてみたんです。話題になり、専門誌でも取り上げられたのが印象に残っています。ここまで大掛かりな仕掛けでなくとも、毎年何か新しい要素を組み込めないか考えています」
「営業として今年初の試みだったのは、出展企業様に向けて“どうすれば良いブースができるか”をレクチャーする動画を制作したことです。社内のグラフィックデザイナーに依頼して、アニメーションを作り、音声を入れ……とかなり力を込めました。何か新しい試みを起こす時、社内にすぐ相談できるのはありがたいです」
「私は歴代の先輩方のやり方をちょっと変えてみました。具体的には、これまではエリアごとに担当を分け、自身が担当するエリアを一から十まで段取りしていたのを、今回は作業内容で担当を分けたんです。私が最初に全体の大枠を段取りし、他の二人にそれ以降の段取りや単独のエリアなどの作業を担ってもらう形で。良し悪しはあったのですが、今回はこれで良かったと思っています」
「変えたことに何か理由はあったんでしたっけ?」
「メンバーの一人が途中まで他の案件にかかりきりで、本展には途中から合流せざるを得なかったんですよ。彼が限られた時間で任されたエリアを一から十まで焦って仕上げるより、全体の大枠担当と特定の装飾やエリア担当とで分業することにより進捗が見通しやすくなるのではないかと思って。実際、常に情報共有をし続けなくても進行することができました。こうやって状況に応じて手順を柔軟に変更できるのは、昭栄美術の良さだと思います」
1ブースから未来は変わる。
誰かにとっての「勝負の場」に、
これからも心を重ねて。
「長年インテリア ライフスタイルを手がけていると、何年も連続で出展される企業様とも出会います。そうした企業様が、最初は1小間だったけれど、次の年は2小間、3小間と出展規模を大きくしていかれるのを見ると、『前回手応えがあったからなんだろうな』『評判が良かったんだろうな』と嬉しくなります。また、並ぶのがインテリア商材なので、身近なんですよ。街を歩いていて『なんとなく見覚えがある』と思うと、インテリア ライフスタイルで出展されていたものだったこともあります。あの展示がきっかけで世に知られて広がっていったのかなと思うと、間接的にでもお力になれたことを良かったなと思います」
「展示内容でもエシカルや環境をテーマにしたものが増えています。昭栄美術でもパネルの再利用に限らず、社会的・環境的に“良い”ものづくりを追求しており、その意味で価値観も沿っているのではと感じます。これからも主催企業様、出展企業様と心を重ねながら、より良いものづくりを続けていけたら本望です」
「出展企業様の中には、この展示が最初で最後だったり、社運をかけた勝負であったりというところもあります。そうした企業様が、まるで文化祭のように目を輝かせながら準備をされているのを見ると、私自身も『もっともっと見栄えがするよう完璧に仕上げよう』と気持ちが引き締まるんです。今後何年手がけても、いい意味で慣れてしまわず、1ブース1ブース最高のクオリティで製作を突き詰めていきたい。そう思っています」